固有値解析に基づく各モード応答と多自由度モデルの応答の関係性

ここでは、固有値解析により得られた各モードの地震応答値と、元々の多自由度モデルの地震応答値の関係性をOpenseespyを使ってみていきたいと思います。まず、S=1~Nまでの各モードの固有ベクトルに関して以下が成立することが知られています。


すなはち、ある構造物の各モードの固有モードと刺激係数の積(刺激関数)を全て足し合わせると1になるということです。また、動的問題においては、構造物の地動に対する応答加速度は以下の式で表せます。


この式が意味するところは、各モードの刺激関数と応答の積が構造物の応答値と等しくなるということになります。上記の定理が成り立つのであれば、元々の構造モデルの応答解析結果とその構造モデルの各周期の振動特性を表す1質点モデルの応答解析結果の和が一致するはずです。そこで、こちらの式の成立性について、Openseespyの解析を用いて確認してみたいと思います。

ここで動的応答を扱う上での地震波を設定したいと思います。 
ここでは、日本建築センターが共有する人工地震動BCJ-L2波を対象とします。この波は建物において極めてまれに発生する大地震(レベル2)相当の地震動に対する建物の構造応答を評価するための波の一つとして定義されています。


確認に用いる構造モデルは、これまでに用いてきた多質点モデルとします。前ページに記載の通り、多質点モデルの固有値解析に基づく固有振動特性は以下の通りとなっていました。


したがって、これらの各固有モードにおける地震応答を確認するために、以下の通りそれぞれのモードの固有周期を有する1質点モデルを作成し解析を実施してみます。
質量を適当に設定すると、定めた固有周期からモデルの剛性が定まります。今回の応答解析では減衰は考慮せず、ゼロとします。すると応答解析が実行できます。応答解析の方法はこれまでのページで書いた手法と同様です。

#入力地震動の読み込み
dt = 0.01  # 時刻刻み
csv_file = "BCJ-L2.csv"
df = pd.read_csv(csv_file)
time = df.iloc[:, 0].values
acc = df.iloc[:, 1].values

ops.wipe()
ops.model('basic', '-ndm', 1, '-ndf', 1)

# SDOF のパラメータ
T=0.0455245 #1次モードの固有周期
h=0#減衰は非考慮
m = 1#質量は1と設定
w = 2 * np.pi / T
k = m * w**2
c = 2 * h * w * m

ops.node(1, 0.0)
ops.node(2, 0.0)
ops.fix(1, 1)
ops.mass(2, m)
#1質点モデルのばねを設定
ops.uniaxialMaterial("Elastic", 1, k)
ops.uniaxialMaterial("Viscous", 2, c, 1.0)
ops.element("zeroLength", 1, 1, 2,
            "-mat", 1, 2,
            "-dir", 1, 1)

# 地震動の入力
ops.timeSeries("Path", 1, "-dt", dt, "-values", *acc)
ops.pattern("UniformExcitation", 1, 1, "-accel", 1)

# 解析設定
ops.system("BandGeneral")
ops.numberer("Plain")
ops.constraints("Plain")
ops.integrator("Newmark", 0.5, 0.25)
ops.algorithm("Linear")
ops.analysis("Transient")

    # 時刻歴解析
outputs = {
        "time": [],
        "rel_accel": [],
    }
for i in range(len(acc)):
    ops.analyze(1, dt)
    curr_time = ops.getTime()
    outputs["time"].append(curr_time)
    outputs["rel_accel"].append(ops.nodeAccel(2, 1))

各固有モードについて同様の解析を行うことでそれぞれ1質点モデルの応答加速度波形が得られます。
得られた応答加速度波形に対して、固有値解析により得られた刺激係数とモデル頂部のモードベクトルを乗ずることで、BCJ-L2波に対する1次~3次モードにおけるモデル頂部の加速度応答波形が以下の通り算定できます。グラフをみると、対象モデルにおいては1次の応答成分が2~3次の応答成分に対して支配的であることが分かります。


最後に、各モードの時刻歴加速度応答を足し合わせたものと多質点モデルに直接BCJ-L2波を入力し時刻歴応答解析を実行したときのモデル頂部の時刻歴加速度応答をそれぞれ比較します。結果のグラフをみると、ほぼ両者の応答値はぴったり重なることが分かります。


以上より、各次のモード応答の足し合わせ結果が、動的応答の結果と一致することが確認でき、前述した定理が成り立つことがOpenseespyの解析に基づいて確認できました。

0 件のコメント:

コメントを投稿